More subject oddness
主語のようで主語でない
前々回、主語の省略についてお話しました。今回は主語について、多少難解ですが興味深い例を紹介したいと思います。まずは次の2つの文を訳してみてください。
「ぼくはうなぎだ」
「こんにゃくは太らない」
普通に考えると奇妙なこの2つの文章。日本人であれば、この2つがどういう状況で発せられた言葉であるのかは簡単に察しがつくでしょう。
前者は「私はカレーにします」「じゃあ、ぼくはうなぎだ」というように食事を注文する時の言葉で、後者は例えば「ケーキは(食べれば)太るけど、こんにゃくは(食べても)太らないよ」という意味になります。
日本語を外国語として学習していると、「は」は主語をつくるものだと教えられます。「うなぎ文」と「こんにゃく文」を理解するには、そうした用法が、「は」のごく限られた一面でしかないことも覚えておかなければならないようです。
主語では説明のつかない「は」の使い方について例を紹介しますので、参考にしてください。
・ 母は歌がうまい
・ その秘密は言えない
・ 野菜は鮮度が大切だ
・ 高級ワインはうれしい(もらったらうれしい)
・ 事故で夫は助かったが妻は亡くなった
また、「は」「が」以外にも主語をつくるものがあるので、覚えておきましょう。
・ あの人にそんな大金は払えない
・ 父の愛した小説
・ 警視庁では犯人に関する情報を求めています
(参考:金谷武洋(2002)『日本語に主語はいらない』講談社選書メチエ)
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難解(なんかい):difficult to understand
興味深い(きょうみぶかい):interesting
紹介する(しょうかいする):to introduce
訳する(やくする):to translate
うなぎ:eel
こんにゃく:mannan
普通に(ふつうに):normally
奇妙な(きみょうな):bizarre
状況(じょうきょう):situation
発する(はっする):to utter
察し(さっし)がつく:to be able to guess
前者(ぜんしゃ):the former
注文する(ちゅうもんする):to order
後者(こうしゃ):the latter
用法(ようほう):usage
限(かぎ)られた一面(いちめん)でしかない:only one aspect of it
参考にする(さんこうにする):to refer to
秘密(ひみつ):secret
鮮度(せんど):freshness
高級(こうきゅう):high class
亡くなる(なくなる):to pass away
大金(たいきん):a large amount of money
小説(しょうせつ):novel
警視庁(けいしちょう):the police department
犯人(はんにん):criminal
情報(じょうほう):information
求める(もとめる):to ask for
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