Second person II
二人称パート2 立場によって使いこなす
二人称代名詞は、「あなた」のほかにも「君(きみ)」「あんた」「お前」「てめえ」「貴様(きさま)」など立場や性別、感情によって複数存在します。
「君」は、男性が同等または目下の人に使う言葉ですが、通常はあまり耳にしません。偉そうな印象と一昔前の気取った上品さが現代社会には受け入れられないのでしょうか。
「お前」と「あんた」は対になっていて、「お前」は男性的、「あんた」は女性的です(方言などの例外を除く)。仲の良い者同士や家族の間で使用頻度が高いのですが、荒っぽい失礼な印象を与えますので安易に使ってはいけません。親しくもない人に「お前」「あんた」は大変失礼です。失礼度で言えば、「てめえ」「貴様」は相手をののしる言葉なので論外です。人からそのように言われたら、ケンカを売られていると思ってください。
こうしてニ人称代名詞を見てみると、あまり日常で使えそうな言葉が見つかりませんね。なぜでしょうか。それは、日本語にはいわゆる二人称を三人称で表す性格があるからです。つまり、相手の名前や立場、役職名を使い分けるのです。基本的は相手の名前ですが、特定の組織内では目上の人は「社長」「先輩」「教授」「先生」など役職名や役柄で、同等または目下の人は名前で呼びます。会社や店と顧客の関係においては顧客が目上になりますので、「お客さま」という言い方をします。
参考までに、家族も目上の人だけ役柄で呼びますが、夫婦間ではお互いを名前で呼ぶ場合と役柄で呼ぶ場合とがあります。
以上を会話にまとめてみました。
登場人物
田中ひろし:父、さちえ:母、こうじ:兄、よう子:妹
さゆり:よう子の友人
佐藤:ひろしの部下
大野けん&よし子:田中一家の隣に住む夫婦
田中さちえ:あら、とうとう冷蔵庫が壊れちゃったわね。お父さん、悪いけど買ってきてくれない?
田中ひろし:オレはこれからゴルフなんだ。よう子、お前はどうだ?
田中よう子:えー!友だちと出かける約束だったのに。お兄ちゃんは行けないの?
田中こうじ:オレはバイトで忙しいの。よう子が行けよ。どうせショッピングだろ。ついでに行ってこいよ。
・店で
田中よう子:さゆり、冷蔵庫買うのつきあってくれない?親に頼まれたんだ。
さゆり:冷蔵庫なんてよう子が選んじゃっていいの?
田中よう子:メーカーと型番をメモしてきたから大丈夫だよ。
田中よう子:この冷蔵庫、配送してもらえますか。
店員:はい、ではここにお客さまのお名前とご住所をご記入ください。あさってのお届けになります。
・ゴルフ場で
佐藤:課長、新しいウェアがお似合いですね。
田中ひろし:娘のプレゼントでね。
佐藤:課長にはお嬢さんがいらしたんですか。プレゼントなんてうらやましいですね。
田中ひろし:佐藤くんのところは息子さんが3人だったね。頼もしいじゃないか。
・ゴルフから帰る田中ひろしが近所の大野さん夫妻に会う
田中ひろし:あれ大野さん、何かあったの?
大野けん:泥棒に入られちゃってね・・・
大野よし子:まったく、この人が鍵もかけずに外出なんかするから。
大野けん:お前が早く買い物から帰ってくればこんなことにならなかったんだ。
大野よし子:そもそもあんたがパチンコに行ったのが悪いのに、人のせいにしないでよ。
田中ひろし:まあまあ。
大野よし子:田中さんも気をつけてくださいね。
このように二人称は状況によって何通りにも変化します。上手に使いこなすのが会話力アップの秘訣です。
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二人称(ににんしょう):second person
使いこなす(つかいこなす):to have a good command of
立場(たちば):status
性別(せいべつ):gender
感情(かんじょう):emotion
複数(ふくすう):plural
同等(どうとう):equal
目下(めした):younger, lower-ranking
通常(つうじょう)は:normally
耳にする:to hear
偉そうな(えらそうな):condescending
印象(いんしょう):impression
一昔前の(ひとむかしまえの):old-fashioned
気取った(きどった):affected
上品さ(じょうひんさ):gentility (in this case)
受け入れる(うけいれる):to accept
対(つい):pair
方言(ほうげん):dialect
例外(れいがい):exception
除く(のぞく):to exclude
~同士(どうし):between
頻度(ひんど):frequency
荒っぽい(あらっぽい):rough
失礼な(しつれいな):rude
印象(いんしょう):impression
安易に(あんいに):without careful consideration
~度(ど):degree of (失礼度:degree of rudeness)
ののしる:to abuse verbally
論外(ろんがい):out of question
日常(にちじょう):everyday life
いわゆる:so called
つまり:in short
役職(やくしょく):post
特定(とくてい)の:specific
組織(そしき):organization
目上(めうえ):elder, higher-ranking
先輩(せんぱい):senior
教授(きょうじゅ):professor
役柄(やくがら):role
顧客(こきゃく):customer
参考(さんこう)までに:for your information
夫婦(ふうふ):husband and wife
お互い(おたがい):each other
部下(ぶか):subordinates
冷蔵庫(れいぞうこ):fridge
バイト:part-time job
つきあう:to go together
頼む(たのむ):to ask
型番(かたばん):model number
配送(はいそう):delivery
記入する(きにゅうする):to fill out
課長(かちょう):departmental chief
お嬢さん(おじょうさん):young lady (your daughter in this case)
頼もしい(たのもしい):reliable
夫妻(ふさい):husband and wife
泥棒(どろぼう):thief
鍵(かぎ):key, lock
そもそも:in the first place
何通りにも(なんとおりにも):many patterns
秘訣(ひけつ):key, secret
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日本語にはガリガリ、ブーブーなど声や音を表す擬音語(擬声語も含む)、よろよろ、メラメラなど動きや状態を表す擬態語があります。特に擬態語は他の言語に直訳できないものが多く、外国人を悩ます表現でもあります。日本で活躍するアメリカ人の詩人アーサー・ビナード(Arthur Binard)さんは、雨が降れば外へ出てそれが「しとしと」なのか「ざあざあ」なのか、あるいは「ぱらぱら」なのかを体感し擬態語を習得したといいます(ビナードさんの詩集『釣り上げては』は2001年、優れた詩集に贈られる中原中也賞を受賞しました)。